女神は夜明けに囁く~小川まり奮闘記③~
後ろで看護師さんが笑ったのを聞いて、私は真っ赤になった。
前では先生も苦笑している。
だけど私の顔の前にビシっと指を立てて、真面目な顔で言った。
「私が言ったのは、安静、です。これは安静とはほど遠いでしょう。今回は無事だったけど、次はないかもしれないと思いなさい」
ははーっとひれ伏したい私だった。
帰り道、お腹に手を当てて、心の中でごめんね、と繰り返す。
これは全て父ちゃんにお前のことを伝えてなかった母ちゃんの落ち度なのだよ。ゆめゆめ父を恨むんじゃあないよ。
そして、もうあんなことはしないから、安心して大きくなってくれ給え。と続けた。
とにかく、無事だった。それが私を明るくしていた。
玄関のドアを開けると、彼の靴があった。
もう帰ってきてたんだな、と思いながら靴を脱いでいると、ドアが開いて長身の桑谷さんが半身を出した。何と言えばいいのか判らないらしく、いまだ痛そうな、後悔し切りの顔をしている。
私はにっこり笑って彼を見上げた。
「ただいま」
「・・・・お帰り」
私の機嫌が良いのが判って、やっと少しホッとした顔で彼が言う。
あー、朝から疲れたわあ~なんて言いながら台所に入っていく私の後をついて来ながら、また彼が謝った。