鋭い彼等のことだから
「そういえば、さっき皐月と話してて気付いたんだが……」




またちょっぴり意地悪なことでも言うのかしら、と和歌子はのん気に構える。しかし哲はしっかりと和歌子を見つめ、真面目な声色で伝えた。




「あいつ気付いてるかもしんねぇぞ。るりが売りしてること」




「……え?」




その時、和歌子の白衣からPHSの呼び出し音が鳴った。慌てて電話に出る。精神科病棟からだった。ちらりと哲のほうを見ると、もうすでに駐車場に向かって歩いている。哲の言葉に大きな不安を感じた和歌子だったが、精神科病棟からの呼び出しを無視することもできず、急いで正面玄関から入り、エレベーターホールへ向かうのだった。
 プロファイラーとは、FBIで心理学の統計学を駆使しながら犯罪者の性質を推論する捜査官や専門家のことを指す。哲の悪い癖は実はもう一つあった。それは相手の行動によって相手の考えていることを勝手に読み取ってしまうことだった。しかしそれは決して意図的なものではないのである。
< 32 / 32 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

公開作品はありません

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop