キミと初恋、はじめます。


「幼い頃に甘えることを出来なかったから、上手く甘える事が出来ねぇんだよなぁ……」



少し低い声でそう言った祐介くんは、ピンッと翔空の頬を弾くと、あたしに視線を移してニッと笑った。



「シキちゃんに対しての異常な甘え方ってのは、器用なようで不器用なコイツの寂しさの表れ……なのかもな」


「寂しさ、の表れ」


「そ、だから大目に見てやって。シキちゃんにとってはうざったいかもしれねぇけど、翔空はやっと、甘えられる人を見つけたんだよ」



甘えられる……人。

この、あたしが?



「ただの変態野郎だけどさ、詩姫に対しての気持ちは嘘じゃないよ。長い付き合いの私達が言うんだから間違いない」



なっちゃんは机に頬杖を付いて、溜息をつきながら言った。
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