キミと初恋、はじめます。
「翔空にはきっと、全部お見通しなんだよ」
あの花園で出逢った時から、ずっと。
あたしの考えてる事や感じている事、その全てが翔空にはわかってしまうんだと思う。
「そばにいちゃいけないって思ってた事も、それでも好きって気持ちが消えなかった事も、きっと翔空はわかってる」
いつも何も考えてないような顔で、へらりと笑う翔空の顔が頭に浮かんだ。
たまに見せる、翔空の瞳の奥の陰りは〝寂しさ〟の塊なのかもしれない。
超マイペースな学園の王子さま。
でも甘くて強引で、誰よりも優しい寂しがりの彼は、今頃……何してるんだろう。
「……なあ、シキ?」
「ん……?」
お兄ちゃんは、キュッと車を道路脇に寄せて止めるとハンドルにもたれかかって、あたしを見つめた。