キミと初恋、はじめます。
あたしは痛苦しい胸を抑えながらも、ふらつく足でアーチを進む。
だんだんと近付いてくる隠れ家に、ギュッと唇を噛みしめながら、それでも止まることなく、歩んでいく。
……息が、苦しい。
うまく呼吸が出来なくて、胸を締め付けられるような感覚に顔を歪ませながら。
あたしは、隠れ家の入口に辿りついた。
────……トンッ。
小さな足音が響いて、そこにいた彼は驚いて起き上がる。
……ほら、やっぱり、いた。
絶対にこの時間、翔空はここにいるんだ。
お昼が終わって眠たくなるのか、毎日ここで寝てるのを、あたしは知ってる。