キミと初恋、はじめます。


「…っ……」


伝えなきゃ。


翔空が目の前にいるだけで、こんなにも胸が締め付けられる。

こんなにも、ドキドキと心臓が高鳴ってる。



「翔空」


握っていた手を離して、落ち着かせるように胸に手を当てる。


大丈夫、きっと大丈夫。

そう自分に言い聞かせ、まっすぐに翔空を見つめた。



「……あたし、翔空が好き」


「っ……え?」



戸惑いの表情を見せ、目を見開いた翔空にあたしは言葉を紡いでいく。


思った事をそのままに。

ただまっすぐに伝えればいい。



「本当はずっと、あたしは翔空が好きだって、気づいてた」



翔空は何も言わない。

それでもあたしは、翔空を見つめたままはっきりと続ける。



「……逃げてたの。翔空と近づいたら、近づいた分離れるのが辛いから」



でも翔空は。

そんなあたしの気持ちなんかとは裏腹に、いつもマイペースに柔らかくて温かい笑顔を見せてくれた。
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