キミと初恋、はじめます。
「翔空。……あたしだけの王子さまに、なってくれる?」
そう微笑んで言えば、翔空も一瞬驚いた表情をした後、いつもの穏やかな笑顔を見せた。
「もちろん」
「っ……大好き」
思わず翔空の胸に自分から飛び込んで、顔を埋めた。
「俺の方が好き」
そう言ってあたしを抱きしめ返してくれた翔空に、涙と笑みが零れた。
「ねえ、翔空?」
「ん」
「もう、逃げるのやめようね。2人なら怖くないでしょ?」
「……そうだね。シキが一緒なら、なにがあってもきっと乗り越えられる」
ゆっくりと身体を離した翔空の顔は、夕陽のせいか少し赤みを帯びていて。
そっと頬に触れた翔空の大きな手に、トクン……と心臓が高鳴る。