キミと初恋、はじめます。
しばらくして翔空が手をおろし、やっと晴れた視界であたしは苦笑した。
「翔空って結構ウブだよね」
「……うるさいよ、シキ」
まだ顔を赤くしたまま、ぷいっと顔を背けてしまった翔空に、クスリと笑う。
こんなところも、好きだよ。
キミの全部が、あたしにはキラキラしてて温かくてこの上ないほど愛しくて。
素直に気持ちを伝えるって、こんなに心地の良い事なんだって知った。
想う気持ちが通じ合う。
それだけで、こんなにもドキドキする。
「翔空、大好き」
ドキドキを笑顔に変えて、あたしは翔空に微笑んだ。
「もう離さないよ。シキは、俺のだから」
あたしの手をギュッと掴んで歩き出した翔空の隣を、一緒に歩きながら、夕陽に染まった海を見つめる。