キミと初恋、はじめます。
「華沢は何係がいい?」
そう聞いてきた委員長に、あたしは黒板に視線を移した。
・衣装係
・料理係
・構成係
そう黒板に書かれていて、あたしはどうしたものかと頭を悩ませる。
クラスの皆は興味津々と言った様子で、一番後ろの席のあたしを振り返って見ていた。
「……あの、あたし何でも……」
「んー、それも困るんだよなぁ」
頭をかいた委員長に申し訳なく眉尻を下げると、ガタッと前の席のなっちゃんが立ち上がった。
な、なっちゃん?
「詩姫は裁縫も料理も出来るから、係は決めないで、両方見てもらえばいいんじゃない?」
「な、なっちゃん!?」
とんでもない事を言い出したなっちゃんに、慌ててあたしも立ち上がる。
「ちなみに私は、裁縫も料理も出来ないから構成に入るわ」
「お、おう。……華沢、それでもいいか?」
「えっ!?い、いやでも……」
「こっちとしては、出来る人に付いてもらいたいから、そうしてもらえると助かる。まあ少し、大変になるかも知れないけど」
そ、そこまで言われたら断れない……。
あたしは渋々頷いたものの、先が思いやられて深く溜息をついた。