キミと初恋、はじめます。




「……よしっ」


クラスの全員が見守る中、〝コスプレ喫茶〟と大きく書かれた看板が教室の入口にかけられた。


いつもの教室は、コーヒーやサンドイッチの絵が散らばっていてオシャレな雰囲気を醸し出していた。



「1年B組、コスプレ喫茶!準備終わりっ!」



野村くんが声を上げると、皆はしゃいだように騒ぎ出す。



「とうとう明日だね!」


「どうせなら人気No.1になれたらいいよな!」


「大丈夫、うちには華沢ちゃんと樋口ちゃんコンビがいる!」



あたしとなっちゃんに向けられた視線に、後ずさりしながらも、心の中は今まで感じたことのないワクワクが渦巻いていた。



「なっちゃん、楽しみだね!」


「ま、明日と明後日は休む暇無いかもね。詩姫のシフトいつだっけ?」


なっちゃんの言葉に、あたしはポケットに入っていた自分のシフト表を取り出す。



「1日目は午前中で、午後は空いてるよ。2日目は午前中が空いてて、午後が入ってる」


「あーそっか。私、陸部の方も行かないといけないから、一緒に回れないかもしれない」


申し訳なさそうに眉尻を下げたなっちゃんに、あたしは笑顔で首を振る。
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