キミと初恋、はじめます。


涙の跡を見た時…シキの存在が、何故かすごく遠くに行ってしまうような感覚に襲われた。



目の前にいるのに。


目覚めてからのシキも、心ここにあらずといった感じでぼーっとしていて。


不安になって、気づいたら屋上に連れ出していた。



来年の夏、星を見に行きたいと言ったのは、多分俺の…シキと一緒にいるための口実なんだよね。



でも、それでもいい。



シキが思っている以上に…

俺が自覚している以上に……



シキの事が好きなんだと、思うから。



正直、自分でも驚く。


オンナノコを好きになんて、絶対ならないと思っていた。


そもそも人付き合いすら、俺には向いていない。


夏と祐介だけは特別で、波長が合うのか一緒にいても苦痛じゃないけど。




それはシキも同じで、苦痛どころか、ぽかぽかした柔らかい気持ちに包まれるんだ。


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