キミと初恋、はじめます。
そーゆー魅力があるんだろーな。
詩音さんも同じだし。
最初に会ったとき、失礼なほど睨みつけたのに詩音さんは気にもせず、俺に接してくれた。
シキの事を頼むって、あの整いすぎた顔で笑ってくれたんだよな。
それに二人の歌……
聞く気が無くても、振り返ってしまいそうなほど魅力的だった。
誰もが惹かれるような、声と容姿。
それを持ち合わせた兄妹なのに、なにか掴めない闇を抱えているような気がする。
シキが詩音さんに向ける瞳は、俺や夏、祐介に向ける瞳とはどこか…違う。
詩音さんはシキを守ることしか考えてなさそうだけど、ね。
そんな事を悶々と考えているうちに、病院の外に出ていた俺は、一度立ち止まった。