キミと初恋、はじめます。


最近、夜は少し冷えるな。



まあもう10月にはいるし、当たり前なのかもしれないけど。



空を見上げてみれば、さっき屋上で見た星が見える。



でも、確かにさっきいた場所よりも、ずっと高さ的には低い場所に立っているはずなのに……



見える星の大きさは、まるでなにも、変わらない。



あるのか無いのかわからないほどに、小さくて弱々しい星が目に止まった。




「……弱いなー」




輝く光が。


まるで今の自分を見ているようだった。


こんな事を一人で悶々と考えていた所で、なにか変わるわけじゃない。



ある意味、これも〝逃げ〟か?



どれくらい前だったかは忘れたけど、夏と祐介に言われた言葉を思い出す。



「あんたって、何も考えてないようで、いつも何か考えてるわよね」


「中途半端に、無気力マイペースなんだよな」



その時は、ただ笑って誤魔化したけど、今考えてみたら的を射ているのかもしれない。



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