キミと初恋、はじめます。
「おいおいおいおい!響、どうした!?」
一部始終を見守っていた野村くんが、驚いたように響くんに詰め寄った。
「……うるせぇ」
一瞬で消えたその笑顔は、ウザったいと言いたそうな顔に変わる。
「あんた、すごいわね」
「え?なにが?」
あたしの隣でクレープを食べながら、感心したように呟いたなっちゃんに首をかしげる。
「あの東条が笑う所なんて、希少価値じゃない?」
「う、うん、確かに初めて見たけど…」
人間なんだから、笑う時は笑うよ、ね?
そんなに驚く事だろうか。
いや、あたしも驚いたけど……
っていうか、このクレープ本当に美味しい!
甘すぎなくて、とろけるようなクレープ生地に、自然と頬が緩む。