キミと初恋、はじめます。
「っ……翔空?」
フワッと甘い香りに包まれる。
ギュッとあたしを抱きしめた翔空に、戸惑って名前を呼んだ。
「…俺、護れなかった」
「え?」
「シキの事、護るって言ったのに」
もしかしてこの足の事?
あの時間、あの場所で翔空が護れるわけがないじゃない。
そんな事誰も責めないのに。
「大丈夫だよ、翔空」
安心させるように、あたしは翔空の背に手を回す。
いつもあたしのそばにいてくれるのは、他の誰でもない翔空なんだから。
そう言い聞かせるように、あたしはギュッと翔空を抱きしめた。
ゆっくりと離れた翔空の瞳は、やっぱりすごく揺れていて。
「……俺、シキのそばにいない方がいいんじゃ……」
「っ……」
「……情けないですよ、先輩」
響くんの声が静かに響き渡る。
顔をあげた翔空と視線が絡んだ。