キミと初恋、はじめます。


「……先輩の想いってそんなもんですか?」


「…………」


「……なら、俺が貰いますよ。華沢の事」



ひ、響くん!?


あたしはわけがわからず、翔空と響くんを交互に凝視する。



「華沢」


「は、はいっ」


「…俺は華沢が好きだよ」



こ、こ、告白……!?


いやいや突然!?


頭が真っ白になって、硬直する。


「ここで告白かよ、やるな」という祐介くんの声が聞こえてくるけど、それどころじゃない。



こんな状況だっていうのに、響くんは真面目な顔であたしに向き合ってくるし、翔空は、表情が読み取れないくらいに俯いていた。




「……星宮先輩じゃなくて、俺にしない?」




そう言ってあたしに差し出された手。


この手を取ることなんて、簡単だよね。


あたしが手を伸ばせばいいだけ。


響くんが本気だって事も、ちゃんとわかってる。


わかってるからこそ、迷わない。


だってあたしの中には、答えは一つしかないんだから。

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