キミと初恋、はじめます。
「詩姫、どれにする?」
「ココア!」
「じゃあ、私はホットミルクティにしようかしらね」
ガタンッと音を立てて出てきた温かいココアを早速あけて、一口飲むとじんわりと身体が温かくなる。
「そういえば、もうすぐクリスマスじゃない?」
教室への帰り道、なっちゃんが思い出したように呟いた。
クリスマス?
そういえば12月に入った頃から街中は一気にクリスマスムードだったな。
ジングルベールジングルベール♪って流れてたし。
「詩姫ならもっとはしゃぐと思ってたけど、案外はしゃがないのね」
なっちゃん、それはあたしが子供っぽいって言いたいのかな?
「あたしんち、クリスマスって言っても特にケーキ食べるくらいだったから」
しかもお母さんと二人で。
二年前まではお兄ちゃんもいたけどね。
家族で過ごすなんて事は無かったし、今年に限っては一人だし。
特に気にも止めてなかったなぁ……
「あんた、翔空がいること忘れてない?」
「へ?」
「クリスマスといえば、カップルの行事と言っても過言じゃないでしょ」
か、カップルの行事……!?
そういえばクリスマスデートとか、プレゼント交換とかするって誰かが言ってたっけ。
「なっちゃんは、祐介くんと?」
「さぁ、どうかしらね。去年は一応フレンチ食べに行ったけど、祐介が食べすぎてお腹くだして、それどころじゃ無かったわよ」
ゆ、祐介くん、ムードぶち壊しじゃん!
なっちゃんと祐介くんって、仲は良いけどあまりカップルっぽくないよね。
カップル像なんて人それぞれだから、口出しなんて出来ないけど。
二人とも部活第一だからなのかな?