キミと初恋、はじめます。
「シキ、ニヤニヤしてるー」
「ニヤニヤなんてしてないよっ」
「えー」
可笑しそうに笑う翔空に、あたしも釣られて笑う。
隣に座って、ぎゅーっと抱き着いて来た翔空の髪が頬にあたってくすぐったい。
なっちゃんや祐介くんがいる時もすごく楽しくて、大好きだけど、二人っきりのこの時間も言い表せないくらい好き。
相変わらずマイペースだし、振り回されてばっかりだけど。
それでも翔空は、あたしと出逢った時から何も変わらないでいてくれる。
こんな時間がいつまでも続くものだと、あたしは勝手に思っていた。
刻々と、あたしと翔空を引き裂く、残酷な運命が近付いている事も知らずに…────