キミと初恋、はじめます。






「どれにしようかな~」



23日の夜。



鼻歌を歌いながらクローゼットの中をひっくり返していた。


だって明日は、翔空と出掛けるんだもん!


いつもは全くオシャレになんか気を遣わないけど、こういう時はちゃんとオシャレするものだよね!



「…やっぱり、これかなぁ」



たくさんある服の中、あたしが手に取ったのは、ワンピース。


オシャレなデザインで腰にベルトがついてるもの。


この間お兄ちゃんが「絶対シキに似合うと思って買ってきた」とかいって、あたしにくれたんだよね。



着る機会が無くて一度も着れなかったけど。


少し可愛すぎるような気もするけど、これくらいがちょうどいいのかな?



「うん、これにしよっ」



ワンピースを体に当てて、鏡で確認してなぜか恥ずかしくなる。



「で、デート……デート、デートだよね……?」



ひとりで何度もデートと呟くあたしは、もう末期に近いんじゃないだろうか。



机の上にあるクリスマスデザインで包装された袋。


それをちらりと見てから、ワンピースをハンガーにかけてベットにダイブした。


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