キミと初恋、はじめます。
◇
「どれにしようかな~」
23日の夜。
鼻歌を歌いながらクローゼットの中をひっくり返していた。
だって明日は、翔空と出掛けるんだもん!
いつもは全くオシャレになんか気を遣わないけど、こういう時はちゃんとオシャレするものだよね!
「…やっぱり、これかなぁ」
たくさんある服の中、あたしが手に取ったのは、ワンピース。
オシャレなデザインで腰にベルトがついてるもの。
この間お兄ちゃんが「絶対シキに似合うと思って買ってきた」とかいって、あたしにくれたんだよね。
着る機会が無くて一度も着れなかったけど。
少し可愛すぎるような気もするけど、これくらいがちょうどいいのかな?
「うん、これにしよっ」
ワンピースを体に当てて、鏡で確認してなぜか恥ずかしくなる。
「で、デート……デート、デートだよね……?」
ひとりで何度もデートと呟くあたしは、もう末期に近いんじゃないだろうか。
机の上にあるクリスマスデザインで包装された袋。
それをちらりと見てから、ワンピースをハンガーにかけてベットにダイブした。