キミと初恋、はじめます。
今頃、翔空はあの手紙を読んでるのかなぁ……
「っ……」
また溢れてきそうになった涙を堪えて、慣れない道を歩く。
一人って、こんなに怖かったっけ。
そこまで遅い時間でもないのに、暗い空の下を一人で歩く事に恐怖を覚えた。
いつも隣には翔空がいた。
翔空がいないだけで、こんなにも心細くなるなんて思いもしなかった。
「……ごめんね」
届くはずもない言葉を、夜空に向かって呟く。
東京の空と違い、田舎だからかすごく星が多くて、久しぶりに見る綺麗な空に頬が緩んだ。
でも、どうしてだろう。
翔空と二人で見た夜空の方が、ずっとずっと綺麗だった気がする。
思い出すのは、全部翔空との思い出ばかりで、あたしはぶんぶんと首を振った。
────叶わない恋って、あるんだよ。
そう自分に言い聞かせて、全てを忘れるように大きく息を吸い込んだ。