さよならからはじまる物語
俺は言いようのない不安に襲われた。
事故、事件。
不謹慎だけど、そういうものに巻き込まれてたほうが
こちらの耳にもすぐに入ってくる。
俺の連絡先ぐらいしか、あいつは連絡先を登録していないから。
一度聞いたことがある。
なんで形だけでも、連絡先を交換しないのかって。
「お前、このままだと俺たちしか友達いなくなるぞ?
本当にお前はいいやつなのに、周りに誤解されたままなんてなぁ」
本を読んでいてどんな表情をしているかも伺えずに、
俺は本を取り上げた。
「俺は、お前にだけわかってもらえてればいいんだ。」
そういってポカーンとしている俺の手から本を奪い、平然と読書に戻った。
「朝陽と俺は、親友だろ…。」
照れたようにつぶやくあいつに俺は嬉しくて、抱き着いたことを覚えている。