さよならからはじまる物語
デート、当日
スマホ、よし。財布、よし。ハンカチ・ティッシュ、よし。
あれまて大事な映画のチケットを…!
「おら、ここにある。焦るな落ち着け。
いい加減挙動不審なのに、よけい拍車がかかってるぞ。」
「もうお前の毒舌とかそれどころじゃない。」
「いや毒舌じゃ」
「見た目おかしくないか?変じゃないか?もういっそ着いてきて」
「…朝陽。」
一瞬何をされたのか分からなかった。
緊張で焦りに焦っていた俺の顔を、深夜は手で挟んだ。
その声がいつもの深夜より落ち着いていて、いつもより優しくて、
何かわからないけどいつもより…。