ブリキのロボットは笑わない
変なこと言っちゃったけど、弁解しようがない。どうしよう。
それこそ、いきなりなにこいつって感じだよね。
「ふっ……あはははっ……今、初めて武内さんがびっくりしたのわかったかも」
予想外に、すっごく笑われた。びっくりしたの、顔に出てたのかなと片手で頬を触る。
表情は変わってない……と思う。
「あたし、びっくりした顔してた?」
「全然。まったく変わってなかった。声の感じと顔が合ってないなってくらい。けど、顔が赤くなったから。焦ってびっくりしたのはわかった」
「確かに……」
言われてみれば、触れている頬がいつもより熱いかもしれない。
椎名くんは口元を上げたまま「また来るよ」と言ってくれた。
「昔からくじ運いいから、当たる気がする。でも、その前に明日も会うじゃん。明日また話そうよ。俺、武内さんと話してみたい」
思ったまま、言葉に出す人なんだろう。だからこそ、嘘がないと思えてうれしい。
あたしも、言ってもいいのかなって思ってしまう。ちょっと自意識過剰になりそうなのは、質が悪いかな。
「あたしも、話してみたい」
「うん。また明日」
そう言って、彼は帰っていった。