ブリキのロボットは笑わない


取り残されたあたしは、椎名くんを見上げる。


「逃げられちゃったから、帰ろう」

「人の話を聞かないんだよね、クミは。けど、まあ今日はよかったかも。あのねりあめ当たったから、取りに行こうかと思って」

「やっぱり当たったんだ……すごいね」

「うん。さすがにびっくりしたけど」


そう言って、椎名くんは小さく笑った。

たぶん、そんなに当たるもんじゃないだろう。こんな感じで、将来宝くじとか当たっちゃいそうだな。


……あ、でも、そんな椎名くんの引きの強さを少し分けてもらったのかもしれない。

今日クミちゃんと仲よくなれて、仲よくなれた子がクミちゃんでよかったって思うから。


椎名くんのおかげだもん。椎名くんって、きっと幸運の人なんだ。


「今度はねりあめなに味にするの?」

「また苺だって。というか俺が当てたっていうより、武内さんだよね。とってくれたの、武内さんだし」

「いやいや、そんな。椎名くんから、幸運を分けてもらったおかげかな」

「なんかそれ、面白い」


リュックを背負った椎名くんの後に、あたしも続いた。


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