ブリキのロボットは笑わない
──カランカラン。
鈴の音がする。扉の近くの植木鉢の下から鍵をとって開けた。
さっきおばあちゃんにメールで、今日もあたしが店番をすると伝えておいた。
おじいちゃんと一緒にご飯を食べに行くって返事が来てたから、よかったかな。
「ねりあめの苺だよね」
「次も当たったりして」
「どうかなあ。さすがに2回はなさそう。他にはなんか買う? 冷蔵庫の中に飲み物とかもあるんだよ」
冷蔵庫を開けると、椎名くんは「これ開けてよかったのか」と驚いていた。
普通の冷蔵庫だから、開けちゃいけない感じがするのはわかる。小学生たちだって、最初は開けなかった。
……あれ?
ふと、棚にあるブリキのロボットと目が合ったような気がする。あのロボットって、ほんとは笑っていたのかも。
遠くからだと、笑っているように見えた。
「武内さん?」
「あ、うん。飲み物はいらなかった?」
「今日はいいや。ここってイートインあるの?」
椎名くんが指差すほうは、狭いけど椅子とテーブルがある場所。イートインってほどじゃないけど、おばあちゃんが座るためのもの。
おじいちゃんも、たまに座ってる。
あとは小学生が休憩するとか、そんな感じ。お菓子を食べていく子は、全然いない。