ブリキのロボットは笑わない
──カランカラン。
うーんとしばらく悩んでいると、鈴の音が聞こえた。
誰かがドアを開けると音が鳴るようになっている。
「いらっしゃいませー」
笑えないことを気にするより、他のことでカバーできるようにがんばろう。
ひとりでもわかってくれる人がいたら、きっと変わるよね。
気持ちを切り替えて、入ってきた近所の小学生の男の子たちの相手をするために売り場へと向かった。
「あ、今日はねーちゃんだ」
「ホントだー。ねーちゃんおまけしてー」
生意気な子たちだなあって思うけど、かわいい。何度か店番をしているうちに、もうすっかり顔見知りだ。
「ダメだよ。またがんばって悩んでねー」
「ええええ。100円しかないのに」
頭を抱えて真剣に悩みだすその子を励ましながら、友達のほうはいつもあっさりと決まってしまう。
あたしも小学生だったら、こんなふうに友達がいたのにな。
今週末に遊ぶ予定ではあるけど、きっと新しい学校のことを話すんだろうな。あと何日かであたしも話せるようなことが起こるといいんだけど。
……どうかなあ。
切り替えたはずの気持ちが、沈んでいく。
「オレ決まったから先にお願い~」
「はい。ちょうど100円ね」
100円玉を受け取りながら、そっとため息をついた。