ブリキのロボットは笑わない
笑われるようなことをしたかしら……。
「なんか、おかしかった?」
「武内さんって、表情変わんないよね。だから正直、あれは怒ってたんじゃないかと思ってた。でも謝ってくるし、びっくりしたとか言うからさ、笑った」
そっかそっかと、納得したようにうなずく椎名くん。やっぱり怒ってるように見られちゃってたんだ。
でも、誤解が解けたならよかった。
「昔から無表情なんだよね。ごめんね。感じ悪いかな」
「別に。ちゃんとしゃべってくれたら感じ悪くないけど」
なるほど。あたしの言葉が足りてなかったのか。
確かにびっくりしたからって、逃げるみたいになっちゃってたかも。
ただでさえ無表情なんだから、ちゃんと話さなきゃいけないよね。
「今度は気を付けるね。ありがとう」
「うん」
うなずいた椎名くんが、ためらいがちに続けた。
「……武内さん、いつもひとりでいるけど、積極的に話しかけていいんじゃない? 結構話したがってる子いるし」
わわ、ひとりでいるって思われてたんだ……って、あたしと話したがってる子がいるの?
そんな話聞いたことないけどな。あ、誰とも話してないからか。