ブリキのロボットは笑わない
「椎名くんて優しいね。あたし、話しかけてもらえるの待ってばっかで自分から話しかけてなかったかも」
「……別に。思ったことを言っただけだし、いきなりなにこいつって思ってもいいとこじゃないの」
「え、でも、言われなかったら気づけないままだったから。ありがたいよ」
あたしの言葉に、なぜかしら椎名くんはまた笑った。いや、でも今のでなにこいつって思えないじゃん!
なにこいつって思われたかったのかな?
よくわかんない人だなあ。不思議。
クラスで浮いている人を放っておけない人気者って感じはしないし、学級委員だから責任感があってのことってわけでもない。
まず彼は学級委員じゃないし。なのに、アドバイスをくれるなんて、うれしいな。
「まあ、いいや。ねりあめって置いてある?」
「ねりあめ? 味はどれがいいとかある?」
「あー、そんなのあるのか。ちょっと待って」
ブレザーのポケットからスマホを取り出して、なにか打ち込んでいるらしい椎名くん。
ひょっとして、誰かから頼まれものかな。