ブリキのロボットは笑わない
椎名くんはあたしが言ったのと、自分で見つけたものをいくつか。ビニール袋に入れて、椎名くんに渡した。
「ありがとう」
「……あ、くじもある。これ懐かしいな。まだあったんだ」
壁にかかっていたのは、くじ引き。当たれば20円ほどの値段で、100円分の駄菓子を買うことができる。
あたしも小学生の頃はよくやったけど、なかなか当たらない。当たっても20円で、得した気持ちにはなれなかった。
「やってみる?」
「いや、さすがにいいけど。たしか、さっきのねりあめもくじ付いてたっけ?」
がさがさと袋からねりあめを出して、椎名くんは「ほら」とあたしにも見せてきた。
ねりあめにくじが付いてたとは知らなかったな。買う人もそんなにいなかったから、見てなかった。
椎名くん、当てそうだなあ。引きが強そう。
「……これが当たったら、また来てくれるかな」
椎名くんなら、当たりそうだね。
「え?」
「あ、いや、あの、え?」
完全に心の声がもれてしまった。っていうか心の声と、言うつもりだったことが逆になってる!
椎名くんがここに来て、話せたことがうれしかったものだから……そう思っただけであって。それを本人に言おうと思ったわけじゃない!