こんなもの拾いました。
「おねーさーん!上がったよー!!」
「着替え!おいてたの着た?」
「着た着た!」


ひとまずホッとして、振り返ると

「誰?」
「ぼーく」
「嘘つくな。この野郎!」

彼のサラサラの髪の毛をむんずと掴み上下に揺さぶった。


「いたいー!!」

正体見せやがれ!!

「こんなこんなドラマみたいな展開があるわけないでしょうが!!」
「だーめっ」

そう言って、彼は笑いながらあたしを軽く持ち上げた。
久々のイケメンから笑いかけられて、ドキっとしたのは、内緒だ。
というか、不可抗力だ。


リビングのソファーに座り、奴はカーペットの上に座らせる。


「てか、誰。名前も知らないんじゃ、呼びようもない』
「ぽち」
「……もういい。疲れた。お風呂入って寝る」

なんだこの男…日本語が通じないのか。

「ごーはーんっごーはーんっ」

通じないらしい。
箸をかちかちかちかちテーブルに打ち付ける犬。


あーもうだめ。キレた。

「何タダ飯食おうとしてんだよ。こっちは仕事で疲れてんの!自己紹介もまともにできない、常識もない!お前はないないずくしか!ていうか、風呂も貸したんだから、もうでてけ!!」
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