DQN女がオトナになるまで。
ガチャ
扉を開けると予備のお酒が
ずらりと並んでいる。
真ん中には小さなテーブル。
そこに1人の男の人がいた。
「あ、おはようございます
ヘルプで来ました
寺塚 夕香(てらつか ゆうか)です」
「おー、おはよ。
町田(まちだ)っす」
「着替えて大丈夫ですか?」
「おう」
町田さんはこちらに背を向けて
タバコを吸い始めた。
こんな感じで着替えるのか...
なんて思いながらも
ささっと準備を終わらせて
あたしはまた裏口の方に向かった。
今度はちゃんと裏口からお店に入り
キッチンの奥へと進んだ。
「おはようございまーす!!
ヘルプで来ました寺塚です!」
鍋を振っている男の人と
サラダの下準備をしている男の人が
手を止めてこちらを見る。
「おっ、お前が寺塚かぁ。よろしく頼むな
俺が料理長の菅野(すがの)
で、あっちが」
「社員の多部(たべ)です。よろしくね」
料理長も多部さんもニコッと笑ってくれた。
いい人たちそうだし
うまくやっていけそう。
まだ少し緊張するけど...
その後あたしは佐野さんに
いろいろと教わり、
ホールとドリンクを任された。
小一時間くらい経った頃には
バイトの人も徐々に出勤してきた。
佐野さん、
更衣室にいた町田さん
(どうやら佐野さんと同い年らしい)、
あたしの3つ年上で古株の女の人
登川(とがわ)さん、
そして店長と店長の奥さんの
朝子(あさこ)さん。
全員と多少の会話をして
だいぶ慣れてきた頃だった。