ほしいもの
普通の1
もうフリーターでいいよね。
隣で友達が笑う声に合わせて、私も曖昧に笑う。
きっちりリクルートスーツを着て、
いつもは意地でも上げない前髪をきちんと横に留めている彼女は、
煙草の煙を長く吐き出しながら、
不快そうな笑顔を貼り付けている。
大学の学食では、同じようにスーツ姿の学生が、
用もなく集まり、就活に疲れた気持ちを慰めあっている。
例外に漏れず私もその中にいて、
スーツのまま煙草を吸っている。
仕事はしたい。それなりでも生活がしたいから。
就職したい。惨めになりたくないから。
そんな動機しかなく、なりたいものもやりたいこともわからない。
でも、私だけがつらいとは思わない。
大体がこんなものだとわかっていた。
メンソールを潰して、くわえる。
「リク、今日選考?」
「んーん、説明会。」
そう答えながら、煙草の臭いがスーツについたらまずいかと、
今更気付いた。
吸い始めたばかりの煙草を、名残惜しく消す。
今日は塾の説明会だ。
別に塾で働きたいわけではない。
それなりに勉強はしてきたし、という、ただそれだけだ。
私は友達に適当に挨拶をし、学食を出た。
退屈な説明会だったら寝てしまいそうだ。
隣で友達が笑う声に合わせて、私も曖昧に笑う。
きっちりリクルートスーツを着て、
いつもは意地でも上げない前髪をきちんと横に留めている彼女は、
煙草の煙を長く吐き出しながら、
不快そうな笑顔を貼り付けている。
大学の学食では、同じようにスーツ姿の学生が、
用もなく集まり、就活に疲れた気持ちを慰めあっている。
例外に漏れず私もその中にいて、
スーツのまま煙草を吸っている。
仕事はしたい。それなりでも生活がしたいから。
就職したい。惨めになりたくないから。
そんな動機しかなく、なりたいものもやりたいこともわからない。
でも、私だけがつらいとは思わない。
大体がこんなものだとわかっていた。
メンソールを潰して、くわえる。
「リク、今日選考?」
「んーん、説明会。」
そう答えながら、煙草の臭いがスーツについたらまずいかと、
今更気付いた。
吸い始めたばかりの煙草を、名残惜しく消す。
今日は塾の説明会だ。
別に塾で働きたいわけではない。
それなりに勉強はしてきたし、という、ただそれだけだ。
私は友達に適当に挨拶をし、学食を出た。
退屈な説明会だったら寝てしまいそうだ。