イジワル同期とスイートライフ
「…ええと、どうでしょう」

「微妙な感じですか、なら誘いますね」



須加さんはそう言って、ほがらかに笑った。



「いやあ、やられたね」



席に戻ると、幸枝さんがペットボトルのお茶を、ビールかなにかのように飲み干して、ふーっと息をついた。



「さすが久住くん、切り込んでくるねえ」

「説明日程、取れました?」

「ちょうどほら、乃梨子ちゃんが押さえてたところが、まだあいてたの」



ということは、来週早々だ。

それまでに説得材料を用意しなきゃ。



「そもそもの言い出しっぺはこっちだもん、引くに引けないよね」

「課長も前向きですもんね」

「ま、がんばろう、なにか言われたら、って言われるに決まってるけど、私も援護射撃するからさ」



背中を叩いてくれる幸枝さんに、力なく笑って返した。


 * * *


【そろそろ終わる頃かな? お疲れさま、早く帰ってきて、待ってるよ。大好き】



お姉ちゃん…。

姉から届いた、どう見ても宛先違いのメッセージを読んで、ぶっ飛んだ。


ベッドに寝転んで、枕を抱える。

なにこれ、日常的にこんなこと送ってるの?

夫婦ならこういうのって、普通なの?

いや、絶対違う。



「もしもし奈々子さん、お間違えですよ」

『電話来た瞬間気がついた! 恥ずかしいー!』

「いつもこのノリなの? すごいね」

『えっ、だって本心だもん』

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