イジワル同期とスイートライフ
いきなり胸元に噛みつかれて、思わず悲鳴をあげた。
「そんな痛くしてねーだろ」
「だって、なに? 私、帰るって」
「誰が帰すか」
両手で頭を掴み、貪るような一方的なキスをする。
ふりほどこうと無駄な抵抗をして、つま先がシーツを蹴った。
間近で私の目を覗き込んで、久住くんが静かに笑う。
「どうせごちゃごちゃ考えてんだろ、頭働かなくしてやるよ」
「嫌だって…」
「なにが嫌? 俺と寝んのが? だったらはっきりそう言うんだな」
言え、って。
久住くんはいつもそう言うね。
言えるわけないじゃない、思ってもいないのに。
唇を噛む私を、勝者の笑みで見下ろして、ゆっくりと指を身体に這わせる。
「他人行儀じゃなきゃいいんだろ」
言い返す言葉が見つからず、目をそらした。
久住くんの前髪が額をくすぐった。
噛みつくようなキスが来た。
「脳ミソ溶けるまで鳴かせてやる」
うん、そうして。
私の意地が砕けたのを、彼は気づいただろう。
満足そうな微笑みを、目を閉じる直前に見た。
なんだよ、結局、優しいじゃない。
そんな文句を飲み込みながら抱かれた。
ちょっと乱暴で、だいぶ意地悪ではあるけれど、最初の頃みたいな、食い尽くされるんじゃないかと思うような苛烈さはない。
それでも最近の、私を不安にさせる柔らかさは鳴りを潜めて、私は安心して、そのせいでずっと泣いていた。
久住くんは時折、あきれたように「どうした」と声をかけては涙を拭いてくれて、でもそれも、彼が余裕を失うまでだった。
最後はお互いをきつく抱きしめて、切羽詰まった吐息を、唇の隙間で感じ合った。
「そんな痛くしてねーだろ」
「だって、なに? 私、帰るって」
「誰が帰すか」
両手で頭を掴み、貪るような一方的なキスをする。
ふりほどこうと無駄な抵抗をして、つま先がシーツを蹴った。
間近で私の目を覗き込んで、久住くんが静かに笑う。
「どうせごちゃごちゃ考えてんだろ、頭働かなくしてやるよ」
「嫌だって…」
「なにが嫌? 俺と寝んのが? だったらはっきりそう言うんだな」
言え、って。
久住くんはいつもそう言うね。
言えるわけないじゃない、思ってもいないのに。
唇を噛む私を、勝者の笑みで見下ろして、ゆっくりと指を身体に這わせる。
「他人行儀じゃなきゃいいんだろ」
言い返す言葉が見つからず、目をそらした。
久住くんの前髪が額をくすぐった。
噛みつくようなキスが来た。
「脳ミソ溶けるまで鳴かせてやる」
うん、そうして。
私の意地が砕けたのを、彼は気づいただろう。
満足そうな微笑みを、目を閉じる直前に見た。
なんだよ、結局、優しいじゃない。
そんな文句を飲み込みながら抱かれた。
ちょっと乱暴で、だいぶ意地悪ではあるけれど、最初の頃みたいな、食い尽くされるんじゃないかと思うような苛烈さはない。
それでも最近の、私を不安にさせる柔らかさは鳴りを潜めて、私は安心して、そのせいでずっと泣いていた。
久住くんは時折、あきれたように「どうした」と声をかけては涙を拭いてくれて、でもそれも、彼が余裕を失うまでだった。
最後はお互いをきつく抱きしめて、切羽詰まった吐息を、唇の隙間で感じ合った。