イジワル同期とスイートライフ
悔しい。
なんで言えないの。
心と真逆だから?
「時間切れだな」
「待っ…」
にやりと笑ったのを、はっきり見る間もないうちに、口は塞がれた。
片手はポケットで、もう片方の手には鞄。
首だけを傾けて、上から押さえ込むようなキス。
久住ー、と遠くで彼を呼ぶ声がした。
それに応えるようについと顔を離し、至近距離から私を観察する。
「じゃあな」
バカにするような一瞥を投げて、久住くんは来たほうへと戻っていった。
悔しくて、情けなくて、涙がにじんだ。
散々、言えって脅しておいて。
言ったところで結局、聞いてくれないんじゃないか。
横暴、勝手、言いたい放題。
なにを考えているのかさっぱりわからない。
でも向こうには、きっと私の気持ちは筒抜けになった。
身体のどこも拘束されていないのに、ふりほどくこともできなくて。
唇の隙間から、からかうように入ってきた舌を、押し戻すこともできなくて。
あんなの、抱いてって言ったのと同じ。
私ばかり、さらけ出させられて、久住くんはなにひとつ語ってくれない。
偉そうに、なによ。
そっちこそ、教えてよ。
なにを考えているのか、教えてよ。
私のこと、どう思っているのか、教えてよ…。
【ちょっと様子がおかしかったので、気になりました】
家に帰った後、そんなメッセージが届いた。
普段どおりを装ったつもりだったけれど、やっぱり出ていたらしい。
【大丈夫です、すみません】
【そうですか、よかった。またお誘いしますね】
なんで言えないの。
心と真逆だから?
「時間切れだな」
「待っ…」
にやりと笑ったのを、はっきり見る間もないうちに、口は塞がれた。
片手はポケットで、もう片方の手には鞄。
首だけを傾けて、上から押さえ込むようなキス。
久住ー、と遠くで彼を呼ぶ声がした。
それに応えるようについと顔を離し、至近距離から私を観察する。
「じゃあな」
バカにするような一瞥を投げて、久住くんは来たほうへと戻っていった。
悔しくて、情けなくて、涙がにじんだ。
散々、言えって脅しておいて。
言ったところで結局、聞いてくれないんじゃないか。
横暴、勝手、言いたい放題。
なにを考えているのかさっぱりわからない。
でも向こうには、きっと私の気持ちは筒抜けになった。
身体のどこも拘束されていないのに、ふりほどくこともできなくて。
唇の隙間から、からかうように入ってきた舌を、押し戻すこともできなくて。
あんなの、抱いてって言ったのと同じ。
私ばかり、さらけ出させられて、久住くんはなにひとつ語ってくれない。
偉そうに、なによ。
そっちこそ、教えてよ。
なにを考えているのか、教えてよ。
私のこと、どう思っているのか、教えてよ…。
【ちょっと様子がおかしかったので、気になりました】
家に帰った後、そんなメッセージが届いた。
普段どおりを装ったつもりだったけれど、やっぱり出ていたらしい。
【大丈夫です、すみません】
【そうですか、よかった。またお誘いしますね】