イジワル同期とスイートライフ
そういうこと
「いえ、このクズはですね、最初から私に目をつけていたくせに、より手軽に落とせそうな私の友人から先に手をつけ、たらし込んだんですわ」
「えっ、最低」
「で、頃合いを見計らって私のほうにちょっかいを出し、私もまあ若かったのと、そんな裏事情を知らなかったんでコロっといきまして」
「うんうん、最低」
「ちなみにその友人とはそこで一度、切れましたよ。今じゃ復縁して、酒の肴にクズの話で盛り上がってます」
あはは、と花香さんが笑い飛ばした先には、当のクズがさすがに居場所をなくし、顔をそむけていた。
「さすがクズの名に恥じないエピソード…」
「言っとくが、俺の名はクズじゃない」
反論も心なしか控えめだ。
この話は確かに、私に知られたら嫌かもしれない。
いや、私以外の誰であっても嫌だろう。
まあこういうのを武勇伝と胸を張ったりしないあたりは、評価に値しないこともない、たぶん。
詳細な報告書を持ってきてくれたついでにランチに出た私たちは、久住くんを吊るし上げて楽しんでいた。
「まあ、今回の仕事も終わりましたんで、もう会うこともないですかね」
「えっ、でも共通のお友達がいるなら、遊んだりしても」
「連絡しようにも、プライベートの連絡先なんか知らないからな」
「私まだあんたの番号、残してあるよ」
「着拒用だろ?」
「さすがゲス、そういうとこ鋭いね」
「俺がかけると思ってるめでたさが信じがたいよな」
仲悪いなあ。
このふたりはどうやら、本当にこれで切れる気らしい。
「でも私とは縁が続くと思いますよ。仕事がら、いい旅行代理店さんを探してる部署、ありますから」
「あらー、本当ですか、お声がけいただけたらどちらにでも伺います」
「紹介しておきますね」
「ぜひです」
嬉しそうに名刺を5枚ほどくれる。
「えっ、最低」
「で、頃合いを見計らって私のほうにちょっかいを出し、私もまあ若かったのと、そんな裏事情を知らなかったんでコロっといきまして」
「うんうん、最低」
「ちなみにその友人とはそこで一度、切れましたよ。今じゃ復縁して、酒の肴にクズの話で盛り上がってます」
あはは、と花香さんが笑い飛ばした先には、当のクズがさすがに居場所をなくし、顔をそむけていた。
「さすがクズの名に恥じないエピソード…」
「言っとくが、俺の名はクズじゃない」
反論も心なしか控えめだ。
この話は確かに、私に知られたら嫌かもしれない。
いや、私以外の誰であっても嫌だろう。
まあこういうのを武勇伝と胸を張ったりしないあたりは、評価に値しないこともない、たぶん。
詳細な報告書を持ってきてくれたついでにランチに出た私たちは、久住くんを吊るし上げて楽しんでいた。
「まあ、今回の仕事も終わりましたんで、もう会うこともないですかね」
「えっ、でも共通のお友達がいるなら、遊んだりしても」
「連絡しようにも、プライベートの連絡先なんか知らないからな」
「私まだあんたの番号、残してあるよ」
「着拒用だろ?」
「さすがゲス、そういうとこ鋭いね」
「俺がかけると思ってるめでたさが信じがたいよな」
仲悪いなあ。
このふたりはどうやら、本当にこれで切れる気らしい。
「でも私とは縁が続くと思いますよ。仕事がら、いい旅行代理店さんを探してる部署、ありますから」
「あらー、本当ですか、お声がけいただけたらどちらにでも伺います」
「紹介しておきますね」
「ぜひです」
嬉しそうに名刺を5枚ほどくれる。