イジワル同期とスイートライフ
Part 3
「いてえって、離せよ」
小柄な身体に似合わない怪力で、久住を人目につかないバックヤードに引きずり込むと、花香がものすごい形相でにらみつけてきた。
「あんた、なにしとん…」
「まず訛りしまって。マジ怖い」
というより、なぜここにこいつがいるのか。
今日はWDMのリハーサルで、花香は関係ないはずだ。
「六条さん泣かすなっつーの、しっかりしなよ」
「えっ、あいつまた泣いてた?」
ついそう言ってしまい、花香に鋭く噛みつかれた。
「またってなによ」
「なんでもねーよ」
「あんた、まさか性懲りもなくクズな所業を…」
「やってねー、やってねー、やってねーって」
詰め寄られて、情けなくも必死に抗弁した。
これだから昔の相手には会いたくないのだ。
お互い知りすぎていて、しかもいい思い出ばかりでもなくて、でもそれはあくまで過去の自分の話で、今の生活の中にどう組み込んでいいのかわからない。
「あんたってさあ」
久住を下からねめつけ、花香が腕を組んだ。
「はっきりしてるし、必要なことは言うし、それはいいんだけどさあ」
「おう…」
なにを言われるのか、壁に張りついて身構える。
「そのせいで、なんでもわかってくれてるような気になるんだよね、こっちは」
「わかるわけねーだろ、心が読めるわけでもないのに」
「読めるんじゃないかって思わせるときがあるんだよ」
「え?」
小柄な身体に似合わない怪力で、久住を人目につかないバックヤードに引きずり込むと、花香がものすごい形相でにらみつけてきた。
「あんた、なにしとん…」
「まず訛りしまって。マジ怖い」
というより、なぜここにこいつがいるのか。
今日はWDMのリハーサルで、花香は関係ないはずだ。
「六条さん泣かすなっつーの、しっかりしなよ」
「えっ、あいつまた泣いてた?」
ついそう言ってしまい、花香に鋭く噛みつかれた。
「またってなによ」
「なんでもねーよ」
「あんた、まさか性懲りもなくクズな所業を…」
「やってねー、やってねー、やってねーって」
詰め寄られて、情けなくも必死に抗弁した。
これだから昔の相手には会いたくないのだ。
お互い知りすぎていて、しかもいい思い出ばかりでもなくて、でもそれはあくまで過去の自分の話で、今の生活の中にどう組み込んでいいのかわからない。
「あんたってさあ」
久住を下からねめつけ、花香が腕を組んだ。
「はっきりしてるし、必要なことは言うし、それはいいんだけどさあ」
「おう…」
なにを言われるのか、壁に張りついて身構える。
「そのせいで、なんでもわかってくれてるような気になるんだよね、こっちは」
「わかるわけねーだろ、心が読めるわけでもないのに」
「読めるんじゃないかって思わせるときがあるんだよ」
「え?」