イジワル同期とスイートライフ
まったくタイプは違えど、私たちは昔から仲がよかった。
が、姉は時折、確信犯的に世間知らずを発揮することがある。
今日みたいなのがそれだ。
「あのね、お姉ちゃん、何度も言うけど、来るときは事前にね」
「いっぱいあるから、賢児くんもどうぞ」
「あ、どうも…」
「聞きなさい!」
「リコちゃんに彼がいるなんて知らなかったよ、いつからつきあってるの」
足りないフォークや取り皿を出すために、久住くんがキッチンへ行った。
逃げたな。
「えーと…一ヶ月くらい?」
「えっ、そんなつきあいたてなの? じゃあラブラブだ!」
「いや、それはどうだろう…」
姉からは死角にいる久住くんと、目が合う。
不自然な受け答えしてんじゃねえよ、とその目が言っていた。
はい、すみません。
「ごめんね、ゆっくりしてたとこに押しかけて」
別にいいよ、と言おうとしたとき、姉の視線がふとベランダに向いた。
あ。
そこには、意味ありげにシーツがひるがえっている。
そして久住くんは、どう見てもシャワーから出たてである。
姉の目がだんだんと見開かれ、頬がピンクに染まった。
「うわあ…ごめんねえ、ほんと」
「違うから…謝んないで、お願い」
実際のところは、明け方にお互い目を覚まして、夢うつつの中で一度抱き合っているので、言うほど"違う"わけでもない。
恥ずかしさのあまり、私までうつむくはめになった。
デリだけだと少し足りなそうだったので、私はスープでも作ることにした。
久住くんを姉とふたりにしてしまうけれど、それはそれで面白そうだし、正直なところ、困っている姿を見たくもある。
自分が招いた事態だ、ざまーみろ、みたいな感じだ。
キッチンで調理をしながら部屋の中をうかがうと、久住くんは姉の質問攻めにあいつつも、それらしく対応しているようだった。
が、姉は時折、確信犯的に世間知らずを発揮することがある。
今日みたいなのがそれだ。
「あのね、お姉ちゃん、何度も言うけど、来るときは事前にね」
「いっぱいあるから、賢児くんもどうぞ」
「あ、どうも…」
「聞きなさい!」
「リコちゃんに彼がいるなんて知らなかったよ、いつからつきあってるの」
足りないフォークや取り皿を出すために、久住くんがキッチンへ行った。
逃げたな。
「えーと…一ヶ月くらい?」
「えっ、そんなつきあいたてなの? じゃあラブラブだ!」
「いや、それはどうだろう…」
姉からは死角にいる久住くんと、目が合う。
不自然な受け答えしてんじゃねえよ、とその目が言っていた。
はい、すみません。
「ごめんね、ゆっくりしてたとこに押しかけて」
別にいいよ、と言おうとしたとき、姉の視線がふとベランダに向いた。
あ。
そこには、意味ありげにシーツがひるがえっている。
そして久住くんは、どう見てもシャワーから出たてである。
姉の目がだんだんと見開かれ、頬がピンクに染まった。
「うわあ…ごめんねえ、ほんと」
「違うから…謝んないで、お願い」
実際のところは、明け方にお互い目を覚まして、夢うつつの中で一度抱き合っているので、言うほど"違う"わけでもない。
恥ずかしさのあまり、私までうつむくはめになった。
デリだけだと少し足りなそうだったので、私はスープでも作ることにした。
久住くんを姉とふたりにしてしまうけれど、それはそれで面白そうだし、正直なところ、困っている姿を見たくもある。
自分が招いた事態だ、ざまーみろ、みたいな感じだ。
キッチンで調理をしながら部屋の中をうかがうと、久住くんは姉の質問攻めにあいつつも、それらしく対応しているようだった。