イジワル同期とスイートライフ
どうしちゃったの
思うに、久住くんは根が真面目なのだ。
だから『彼女と思って生活する』と言った以上は、そのように振る舞う。
そりゃもう、過剰なんじゃないか、というくらいに。
一方の私は、いまだに自分のスタンスを決められずにいる。
「六条さん、久住と会ったりする?」
「はっ?」
廊下で同期の男の子に呼び止められたと思ったら、そんなことを言われたので、声が裏返る勢いで動揺した。
吾川(あがわ)くんという子で、フロアが同じなため、同期の中では交流のあるほうだ。
「えっ、え、なんで、会うって?」
「あれ、WDMの仕事、一緒にやってるんじゃなかったっけ」
…もう私、知られたがっているとしか思えない。
いや、そもそも知られたって別にいいんだった。
しっかりしよう、もう。
「久住に頼み事してたんだけど、つかまらなくてさ」
「今、海外出張中だよ」
「あっ、そうなの? それじゃ仕方ないか」
中性的というか優しげというか、久住くんとは違ったタイプだけど、巨額の予算を使う最前線の部署、宣伝課にいるだけあって、言動には迷いがなく、人気があるという話も聞く。
「たぶん仕事でやりとりするけど、なにか伝えようか?」
「頼むよ、俺が探してたって言えば通じるから」
「了解」
とりあえず、不審に思われずに済み、ほっとした。
【やべー、忘れてた】
昼休み、仕事が詰まっていたので食事に出られず、デスクでパンを食べながら久住くんに連絡を取ってみると、そんなメッセージが返ってきた。
【仕事の話?】
【いや、合コン】
だから『彼女と思って生活する』と言った以上は、そのように振る舞う。
そりゃもう、過剰なんじゃないか、というくらいに。
一方の私は、いまだに自分のスタンスを決められずにいる。
「六条さん、久住と会ったりする?」
「はっ?」
廊下で同期の男の子に呼び止められたと思ったら、そんなことを言われたので、声が裏返る勢いで動揺した。
吾川(あがわ)くんという子で、フロアが同じなため、同期の中では交流のあるほうだ。
「えっ、え、なんで、会うって?」
「あれ、WDMの仕事、一緒にやってるんじゃなかったっけ」
…もう私、知られたがっているとしか思えない。
いや、そもそも知られたって別にいいんだった。
しっかりしよう、もう。
「久住に頼み事してたんだけど、つかまらなくてさ」
「今、海外出張中だよ」
「あっ、そうなの? それじゃ仕方ないか」
中性的というか優しげというか、久住くんとは違ったタイプだけど、巨額の予算を使う最前線の部署、宣伝課にいるだけあって、言動には迷いがなく、人気があるという話も聞く。
「たぶん仕事でやりとりするけど、なにか伝えようか?」
「頼むよ、俺が探してたって言えば通じるから」
「了解」
とりあえず、不審に思われずに済み、ほっとした。
【やべー、忘れてた】
昼休み、仕事が詰まっていたので食事に出られず、デスクでパンを食べながら久住くんに連絡を取ってみると、そんなメッセージが返ってきた。
【仕事の話?】
【いや、合コン】