イジワル同期とスイートライフ
「そりゃ負け犬のロジックだろ」
「じゃあ久住、お前は合コンの極意をなんと心得てるわけ」
「極意もなにも、気に入った子口説き落として終わりだろ」
「甘い」
ちっちっと人差し指を振って、吾川くんは宣言した。
「全員の満足度を最大限高め、『またこの幹事にセッティングを任せたい』と思われてこそ、成功した合コンと言える」
「先食ってていい?」
「これテストに出るからな!」
久住くんはお箸箱から2膳取ると、ひとつを私に渡し、食べはじめた。
「要するに吾川は、合コンそのものが好きなんだろ、女目当てじゃなくて」
「久住は違うの?」
「当たり前だろ、出なくて済むなら出ないわ、あんな疲れるもの」
「またそうやってクールぶって」
「絶対俺のほうが多数派」
「じゃあなにを目的に出てるのさ」
「そりゃ、手っ取り早く女の子持ち帰っ…」
私の視線に気づいたらしい。
久住くんはお箸を宙に浮かせたまま、言葉を途中で切る。
「…あー」
「なんだよ」
「なんでもねーよ、さっさと食え」
なんだよ、としつこい吾川くんを腕で押しのけて、その後は黙々と食べていた。
課内の進捗会議の場で、課長が大きなため息をついた。
「後任がいないってのは、理由を言ってた?」
「海外市場は今、新商品の導入の真っ最中で、人が足りないんですよ」
幸枝さんがなだめるように説明する。
「導入? そうか、今頃やってるんだっけ」
「もうすぐ始まるところです」
「じゃあ久住、お前は合コンの極意をなんと心得てるわけ」
「極意もなにも、気に入った子口説き落として終わりだろ」
「甘い」
ちっちっと人差し指を振って、吾川くんは宣言した。
「全員の満足度を最大限高め、『またこの幹事にセッティングを任せたい』と思われてこそ、成功した合コンと言える」
「先食ってていい?」
「これテストに出るからな!」
久住くんはお箸箱から2膳取ると、ひとつを私に渡し、食べはじめた。
「要するに吾川は、合コンそのものが好きなんだろ、女目当てじゃなくて」
「久住は違うの?」
「当たり前だろ、出なくて済むなら出ないわ、あんな疲れるもの」
「またそうやってクールぶって」
「絶対俺のほうが多数派」
「じゃあなにを目的に出てるのさ」
「そりゃ、手っ取り早く女の子持ち帰っ…」
私の視線に気づいたらしい。
久住くんはお箸を宙に浮かせたまま、言葉を途中で切る。
「…あー」
「なんだよ」
「なんでもねーよ、さっさと食え」
なんだよ、としつこい吾川くんを腕で押しのけて、その後は黙々と食べていた。
課内の進捗会議の場で、課長が大きなため息をついた。
「後任がいないってのは、理由を言ってた?」
「海外市場は今、新商品の導入の真っ最中で、人が足りないんですよ」
幸枝さんがなだめるように説明する。
「導入? そうか、今頃やってるんだっけ」
「もうすぐ始まるところです」