イジワル同期とスイートライフ
疑わしそうに眉をひそめられて、顔が熱くなった。

なにこの反省会みたいな流れ。

いっそ記憶が飛んでいたらよかったのに、どうしてお互い、いろいろと全部覚えているのか。


が、誓ってもいい、私は違う。

少なくともこれまでの相手からそう言われたことはない。



「ま、いいや、これからどうしような」

「これからって?」



食事に戻った久住くんは、考え込みながら言った。



「や、俺、彼女でもない女の子と寝るとか、主義じゃないし」

「お互いさまです」

「あ、そうなの? じゃあちょうどいいや、つきあおうぜ、俺ら」



はっ?

なにを言い出すのかと訝った私を、彼が見る。



「だって、次はないって言いきれる感じじゃなかったろ? 俺、このままいったら絶対どこかであると思うよ、二回目」

「それは…光栄だけど、それがなんで、つきあうことに」

「嫌じゃん、ただ流れでやって、よかったから次もやって、でも別に彼女じゃありませんみたいなの。それなら俺、ちゃんと形があったほうがいい」

「だからって、好きでもないのに」

「別に嫌いじゃないし」



…ありがとう。

なんだろう、頭のいい人って、代わりにどこかがすっぽ抜けているんだろうか。

唖然として食べるどころじゃなくなった私とは反対に、久住くんはさっさと食事を終えて、ワイシャツの胸ポケットから煙草を取り出す。



「で?」

「で、って?」

「返事は?」



新品に近いボックスから一本を抜き取りながら、彼が尋ねた。

えっ。

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