今、2つの色で


パシッ――


駿の胸から離れて、逢坂の手を、掴んだ。


その拳は紛れもない、駿に向けられたものだった。


「っめて…やめてよ!!!」


あたしはただ、怖かった。


震える唇で、2人に向かって叫ぶ。


駿と逢坂にしか伝わらないような言葉。


あたしだけが追いつけない世界。


この人たちがどんな関係なのか分からないし、あたしが口を出していいことなのかも分からなかったけど。


だけど。

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