今、2つの色で


こんなに走ったというのに逢坂の息は全く乱れていなくて、ただあたしに目を合わせてそう言った。


「話…って…」


あたしは逢坂を見つめたまま。


「…楠森のことだ」


その言葉に、あたしは目を見開いた。


「学校出たら話すから来い」


そう言って逢坂は上靴から外靴に履き替えると、何歩か歩いた先であたしを手招きした。


教室に残ったままの駿のことが気になっていたけど、あたしは逢坂の言う“楠森のこと”が気になって。


外靴に履き替えると、逢坂のあとをついて学校を出た。

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