今、2つの色で


俺は自分の席から一歩も動かずに、ただそんなクラスメイトたちを馬鹿だなって思いながら眺めてた。


でも。


「逢坂、一緒になろう」


その声は、俺の背後から降ってきた。


――名前を呼ばれたときは、信じられなかった。


そいつは明らかに俺の名前を呼んだし、それが俺にかけられた言葉だっていうのは分かってたけど、もしかしたら何かの間違いかもしれないと思って。


俺は無視して、またクラスメイトを眺める。


でもその声はやっぱり、間違いじゃなかったみたいで。


「逢坂」


2度目に呼ばれたときは、さすがの俺も振り返った。

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