今、2つの色で


「楠森、」


通り過ぎる瞬間に、その姿に声をかけた。


その声に反応した背中が、そっと振り返る。


3年ぶりに会う、俺たち。


きっと誤解されたままの、あの事件。


もう遅すぎるかもしれないけど。


でもそれでも、俺は楠森に伝えたいことがあった。


「逢坂…?」


俺を見た瞳は、あの頃と変わらない――楠森だった。

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