今、2つの色で
俺たちが高校に入ってはじめてこうやって会話したのは、入学してから半年もの月日が経っていた。
それまでに何かあったのかもしれない。
俺は“あの事件”を忘れてしまったような楠森の姿を妙に思いながらも、ただその言葉に頷いた。
「俺ずっと学校休んでたから、進学校には行けなくなったんだよね」
楠森は少し笑って、そう話す。
そういうことだったのか。
ここは俺の学力でも入れたレベルの高校だ。
優等生で成績が良かった逢坂が何故ここにいるのか、ちょうど不思議に思っていた頃だ。