今、2つの色で
だからきっとあたしだけのものなんかじゃなくて、あたしの心を締め付ける駿の姿にいつも苦しくなる。
「じゃあこれを~…楠森」
ビクッとして、あたしはその声の方を向く。
教師は駿の名前を呼び、黒板に書かれた問題の文字の下に一本線を引いた。
呼ばれた駿は何も言わず立ち上がって、黒板の前までと足を運んだ。
どんな問題でも、駿は解いてしまう。
駿は真っ白なチョークを持って、スラスラと問題を解いていく。
その背中は、あたしが何度か抱きついたことのある背中で。