今、2つの色で


「嫌だ…っ嫌だ!行かないでよ逢坂!!!逢坂だけでもここに残ってよ!!!やだよせっかく通じ合えたのに離れ離れなんて!!!」


荒げた声が、静まり返った体育館に響く。


呼吸が乱れて、切羽詰まった表情でただ逢坂を見つめた。


逢坂のいつものふざけた調子は今はどこにも感じられなくて、真剣にあたしだけを見つめ返してくれていることが分かった。


「…俺は将来…親の仕事継ぐ予定でいるんだ…そのために勉強しに行かなくちゃなんねぇ…俺らしくねぇけど…これは決めたことだ」


逢坂のその目が、潤んで見えるけど。


それはあたしの目が潤んでいるからなのかな。


頭の中はたくさんの感情が入り混じって。


あたしがあたしじゃないみたいに感じて、怖くなる。


「っなんで…もっと早く言ってくれないの…っあたし…それだったらもっと早く伝えたのに…っ逢坂のこと…ずっと前から好きだったのに…っ」


素直に逢坂を応援したいはずなのに、どうしてもできない。

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