今、2つの色で


真っ直ぐに見つめられて、あたしは逃げ場を失う。


「知るわけないわ!ってかいい加減離そうか?」


手首を掴まれたままだったことを思い出して、あたしは再び手を振り払おうと身体をひねる。


でも逢坂はもちろんそんなあたしの行動にピクリとも動じず、無視してそのまま続ける。


「正解は、楠森にお前の顔と名前を教えられたから」


「は?!」


この答えに対しても、あたしは驚きを隠せない。


また、思わずひねっていた身体の動きが止まった。

< 96 / 500 >

この作品をシェア

pagetop