ずっと前から好きなんです。
1章
高校二年の春。

風で満開の桜が散っている。

私はその風景を見ていつも思う。

「今年も桜綺麗だな。」

私は歩き始めた。

私の横には今男の子がいる。

名前は、斉藤蓮。

幼なじみで今でも好きな初恋の人。

でも蓮には他に好きな人がいて...

私はただ単に蓮のことを見てるだけだ。

告白?そんなもん怖すぎてできない。

幼なじみだからなおさら。

今後の関係とか怖くて伝えたくても伝えられないのだ。

蓮とはしばらく沈黙が続いた。

「鈴、綾乃何でこの頃一緒に行かないんだ?他に一緒に行ってる奴がいるのか?」

「この頃綾乃と会わないから知らないよ。」

私は、そう答えた。

綾乃とは、前まで一緒に学校に行ってたもうひとりの幼なじみだ。

でも、実は知っている。

綾乃には高校一年の3学期の頭あたりから彼氏がいる。

その彼氏と登下校をしているらしい。

が、そんなこと蓮に言えるわけがない。

蓮は綾乃ことが好きだからだ。

こんなの知ってしまったら蓮はどうなってしまうのか予想がつかないが私は黙っていた方がいい、そう思った。

綾乃と渡辺くんが付き合っていることは結構噂されているのに知らない蓮のことを不思議に思った。

いずれ蓮に知られることになると思うが...。

「蓮、やっぱりまだ綾乃のこと好きなの?」

「うん、だからなおさら心配になる。なんで俺達と一緒に行かないのかなーって。みんなで決めたのにな。」

「まあそーだけどさ。」

「俺、嫌われたのかな?そんなことした覚えはないけどな。」

「嫌われたなんて、考えすぎだよ。そんなわけないって。」

「だといいんだが。」

蓮はとても寂しげな顔をしている。

綾乃がいないだけでいつも楽しい登下校もこんなに変わってしまう。

改めて、綾乃のすごさに感動した。

私は綾乃に絶対勝てないと思った。

「いつでも相談乗るからね。」

私はそう言って、自分の教室に入った。

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